今回は”史上最大の決断-野中郁二郎著”について、感想文を書いていきたいと思います。
私事になりますが、野中郁次郎さんは私が尊敬する経営学者で、彼が執筆した本は多く読ませていただいています。
もっとブログの文章作成能力が高くなってきたら、本記事を書きたいなと思っていたのですが、、、
もう我慢できなくなりました(笑)
まだまだ拙い文章ではありますが、頑張って作成しましたので是非ご覧ください。
著者 野中郁次郎について
まずは、氏の経歴から追っていきましょう。
名前:野中 郁次郎(のなか いくじろう)
日本の経営学者。一橋大学名誉教授、カリフォルニア大学バークレー校特別名誉教授、日本学士院会員。知識経営の生みの親として知られる。
著書:”失敗の本質”, ”戦略の本質”,”知徳国家のリーダーシップ”等
そう。あの”失敗の本質”の著者です。この本はとても有名ですよね!?
なに?読んだことがない?そんなケシカラン方がいらっしゃれば、ぜひこちらも読んでみてください。
個人的にはかなり良質なマネジメント本と思っています。
そのほかにも、マーケティングや中小企業診断士の基礎を学んだ人には、馴染みのあるフレームワークを創った人として有名です。
そう。SECIモデルを作った方です。
SECIとは、個人が持つ知識や経験などの暗黙知を、形式知に変換した上で組織全体で共有・管理し、それらを組み合わせることでまた新たな知識を生み出すフレームワークのこと。
※SECIモデルに関して詳しく知りたい方は、以下の説明リンクを張り付けておきます。
Neuron 参照SECIモデルとは?企業におけるナレッジマネジメントへの活用と具体例SECIモデルとは、個人が持つ知識や経験(暗黙知)を組織全体で共有(形式知化)し、新たな発見を創出するためのフレームワークのこと。企業のナレッジマネジメントにおいてこのSECIモデルが注目される理由をご紹介。
本書の内容
概要
本書は、失敗の決断から約30年後に執筆されたもので、舞台は第二次世界大戦となります。
“失敗の本質”は、第二次世界大戦時の日本帝国という極めてセンシティブなモデルを使って、リーダーシップ論・組織論の観点で失敗するリーダーの本質を捉えた本
これに対して
”史上最大の決断”は、同じく部隊は第二次世界大戦で、欧米ソの各国のリーダーを中心に、リーダーシップ論、組織論の観点で成功したリーダーの本質を捉えた本
このような理解で大筋間違っていないと思います。
ノルマンディー上陸作戦がどのようにして決断され、どのような組織つくりが行われたのか、そして上陸からベルリン陥落に至る作戦がどのように実行されたのか。
これらを各国のリーダーの特性、行動を追いながら、野中氏が提唱する実践知のリーダー像を追っていく本となっています。
登場人物
本書の登場人物は大きく以下4人となります。
①アイゼンハワー(ノルマンディー上陸作戦。連合軍最高司令官)
②チャーチル(第二次世界大戦時 英国首相)
③ヒトラー(ナチスドイツ 総統)
④スターリン(第二次世界大戦時 ソビエト連邦 閣僚会議議長)
これら登場人物たちの人間性、スタイルを、野中氏が独自の視点で評価しています。
本書の中心人物は、アイゼンハワーとなるのですが、彼を取り巻く各人物の動きや、ヒトラーのリーダーとしての欠点がどこにあったかなど、とても分かりやすく書かれています。
実践知リーダーの必要な能力
野中氏は、”実践知リーダー”という言葉を提唱しています。定義として、
変化のまっただ中で、状況を直観し、タイムリーに的確に判断するリーダー
としています。”失敗の本質”でも書かれていましたね。
本書でもアイゼンハワーやチャーチルがどのような点で、またどのような経験を得てその能力を有していたが本書で書かれています。
なお、野中氏が提唱する実践知リーダーの要素は以下となります。
【実践知リーダーの要素】
①善い目的を作る能力
②ありのままの現実を直観する能力
③場をタイムリーに作る能力
④直観の本質を物語る能力
⑤物語を実現する能力
⑥実践知を組織する能力
かみ砕くと、「現場感のある人」、「周囲に動機を与える能力が高い人」、
こんなイメージでしょうか。
凡人が非凡人化するプロセス
野中氏は、アイゼンハワーは当初は取り立て特筆すべき能力が元からあったわけではなく、
いわゆる「秀才」で、「天才」というわけではなかったと記しています。
そのような凡人(私からしたらそれでも天才なのだが)が非凡人化するプロセスも説明しています。
その中で、我々がリーダーシップ論として応用できそうな点を抜粋してみます。
【凡人が非凡人化するプロセス】
- 職人道を真摯に追及、実践したこと
- 複数の優れたメンターに恵まれること
- 類まれな文章力を身に着けること
職人道を真摯に追及、実施したこと
現状に満足せず高みに向かって努力するということ、そしてそれを継続することです。
私の好物です(笑)。本ブログサイトのテーマですが、「コツコツは勝つコツ」としています。
実体験として、ちょっとやそっとの才能の差や能力の差なんて継続して努力すれば、その程度の差は補えることは、わたくし すてっぷらくだも重々理解しています。
継続は力なり、失敗は成功の母、ウサギとカメ、言葉は違えど現状に満足せず、改善を重ねることがいかに大事かということを野中氏は教えてくれています。
複数の優れたメンターに恵まれること
陸軍きっての教養人であるコナー、カリスマの手本そのものだったマッカーサー、参謀の鏡としてのマーシャル。
このような優秀な人材の良き点を貪欲に吸収していくことが、凡人から非凡人化するプロセスで必要な要素と筆者は捉えています。
類まれな文章力を身に着けること
見えないものを見て、一見関係なさそうなもの同士の間に道筋をつける。そしてそれを文章として文脈化する能力。これは、現代社会に生きる我々全員が必要とする能力です。
アイゼンハワーの文脈創造力は、複数の師から受け継いだ優れた実践知、師の一人であるコナーが伝授した物事に対する洞察を深めるリベラルアーツの知識、そしていくつかの戦場経験によって培われた。
うーん、演繹的というよりも帰納的な感じがします。野中氏は、さらには「仮説推論」と言っています。
史上最大の決断 まとめ
いかがでしたでしょうか?
歴史を題材としたリーダーシップ論なので、かたっ苦しいかと思うかもしれませんが、実在した偉人達が実際に起こした行動をベースに本書は作られており、とても分かりやすい文章になっています。
私のまとめは拙いかもしれませんが、やっぱり要点を押さえてみると、社会人をやっていると納得感のいくところが多いですよね。
本ブログを見て、もし興味を持った方は、ぜひ本書を手に取ってみてくれるとうれしいです。
面白さ | ★★★ |
読みやすさ | ★★ |
学び | ★★★★ |
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