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らくだ読書感想文 #5
今回は、マイケル・A・ロベルト著 “なぜ危機に気づけなかったのか ― 組織を救うリーダーの問題発見力”のレビュー・感想をやっていくよ!
目次
本書について:”なぜ危機に気づけなかったのか”
著者情報
経歴:ブライアント大学経営学教授。ハーバード・ビジネス・スクール教授、ニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネスの客員教授を務めた経験を持つ。
専門分野:戦略的意思決定
その他著書:『決断の本質 プロセス志向の意思決定マネジメント (ウォートン経営戦略シリーズ)』2006年、『なぜ危機に気づけなかったのか ― 組織を救うリーダーの問題発見力』2010年
今回のレビューは、『なぜ危機に気づけなかったのか ― 組織を救うリーダーの問題発見力』を行いますが、
著者の前著『決断の本質 プロセス志向の意思決定マネジメント (ウォートン経営戦略シリーズ)』も私は読んでいます。
野中郁次郎氏の”失敗の本質”、”史上最大の決断”もそうなんだけど、
成功や失敗の本質がどこにあるのか、決断を行う上での正しいプロセスは何なのかというような本は大好物♡
著者が最終的に言いたい「物事の本質」を説くために、様々な事例を提供してくれます。その内容が引き込まれるほど面白い。
是非私のレビュー・感想を見て、興味が湧いたら購入してみてください。
※野中郁次郎氏の”失敗の本質”、”史上最大の決断”は過去レビューしています。
おすすめポイント・要点
本書が伝えたいことは以下の通りです。
本書では、7つのスキルが書かれていますが、今回はすてっぷらくだがその中でも特に大事と思えるスキルを3つに絞ってみました。
以下は、それらの詳細を書いていこうと思います。
情報のフィルターを避ける
ここでのフィルターとは、自身の部下やその他関係者を通すことで、正しい情報が届かないことを指します。
「じゃあ部下や関係者が悪いのか!」というと、そうではないです。
自身がそれを引き起こした可能性もあります。
ソンタイ捕虜収容所奇襲作戦
作戦実行の意思決定を導くためのブリーフィングの際、既に情報としては、対象のアメリカ人捕虜がいる収容所に「実は誰もいない」という可能性があったようです。
その場合、当然その可能性を吟味した上で作戦の検討を行うと思いますよね。
しかし、実際は収容所に誰もいない可能性を誰も言及しなかったようです。
何故誰も言及しなかったのか、理由としては”空気を読んだから”だったようです。
当時のアメリカ大統領である、ニクソンが本作戦をやることに躍起だったようで、
明らかに作戦の中止につながるような情報を受け付けない姿勢を示していたようです。
そして部下たちに相当のプレッシャーを与えていたようです。
心理学用語で、確証バイアスという言葉がありますね。
これは、自身が現在持っている意見や仮説と一致するデータを集めたがる行動と定義されています。
ニクソンは、完全に確証バイアスの状態になっており、気づかないうちに部下たちにプレッシャーを与えてしまった。
その為、部下たちが悪いニュースを伝えることを躊躇させてしまい、結果、作戦は失敗につながったようです。
本書でも言っていますが、リーダーは、こうした情報のフィルタリングの過程で重要な問題が隠蔽されているかもしれないことを憂慮しなければいけませんね。
フィルターを避けるための5つの手法
本書では、フィルターを避けるための手法も述べています。
内容としては、以下の通り。
うん。わかりやすいし、どれも実行できそうだね!
人類学者のように観察する(言葉ではなく行動を観察しよう)
この意味は、
「人間は発言と行動が一致しないことが往々にしてあるから行動を観察しようね」
という意味です。
どうして発言と行動が一致しないのか?
本書では、以下のポイントを指摘しています。
誘導尋問
こちらも確証バイアスにつながる話です。
たとえ、見かけ上は違ったとしても、もしかすると無意識だったとしても、リーダーは効きたい答えを部下から引き出そうとする可能性があります。
そうなると、答えを誘導するような会話になってしまいますよね。
そして部下は本当はなんとなく、リーダーにとって「気持ちのいい回答」をしてしまう。
でも実際のところ、部下の行動にはその回答一致しない点が多々ある。
う~ん、あるあるですね(笑)
集団力学
リーダーや会議の中で声の大きい人がいて、それらがテーブルをドンとたたくような人だった際をイメージしてみましょう。
こういう人たちがしゃべりまくって、
「君たちはどう思う?」( ・´ー・`)ドヤァ
なんて言われても、なかなか思ったことを口にできないですよね。
そして本来あるべき結論ではないことに着地し、時間が経って振り返ってみると行動できていないことがわかる。
う~ん、これもあるあるですね(笑)
効果的な観察を行うための原則
以上、言葉と行動が一致しない例でした。その為、リーダーは「周りの行動をよく見て判断しましょう」と本書は伝えています。
それでは、効果的な観察を行うためにはどうすればいいでしょうか?
本書が押さえているポイントは以下の通り。
この原則は普段から考えておかないとなかなか、簡単には実施できなさそう。。
常々、意識しておこう!
パターンを探し、見分ける
失敗しそうな事情に対して、早期に「これは何か怪しい気がする」、「何だかしっくりこない」と感じる直観力を鍛えることです。
では、ここでいう直観とはどういうことでしょうか?
本書では、直観を”過去の経験パターンを認識するプロセス”と定義しています。
今までの経験から、「何かおかしい」と感じ、危機に対処するというのが理想の流れなのですが、
問題は、成功体験に引っ張られ、間違ったパターンを認識する場合です。
エンロン破綻
この章で挙げられる事例はエンロンです。
エンロンとは、かつてかつてアメリカ合衆国テキサス州ヒューストンに存在した総合エネルギー取引とITビジネスを行っていた超大企業で、巨額の不正経理・不正取引による粉飾決算が明るみに出て2001年に破城した企業です。
※詳しくは、Wilipedia参照
出典:Wilipediaエンロン - Wikipedia
過去大成功を経験したパターン(当時会社ではテンプレートと呼んでいたらしい)に無理やりこれから注力したい市場に当てはめ、強引なアプローチでビジネスを行っていたようです。
このような事例は探せばいくらでもありそうですね。
パターンを認識する能力を高める。
このように間違ったパターンを当てはめることなく、正しいパターン認識を行うにはどうすればよいのか。
本書で指摘しているポイントは以下の通り。
本書では、他にもたくさん大事なポイントを出してくれているよ!興味がある方は、是非見てみてください!
“なぜ危機に気づけなかったのか” 感想・レビュー
いかがでしたでしょうか?
著者がアドバイスするポイントはどれも、それ自体は難しいことではなさそうです。
本書を読んでおけば、ふと「あ!そういえばあの本で言ってたな!気をつけなきゃ!」と思えるかもしれませんので、興味のある方は是非読んでみてください!
面白さ | ★★★☆☆ |
読みやすさ | ★★☆☆☆ |
学び | ★★★★☆ |
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