企業・株式・資産価値の算出について

中小企業診断士試験奮闘記

今回は中小企業診断士2次試験事例Ⅳに頻出する企業価値・株式価値・資産価値について、学んでいきましょう。

価値を算出する問題で、覚えておく必要のある公式は?

先に結論を申し上げると、以下の公式は覚えておく必要があります。

①CAPM (個別証券(自己資本)の割引率)
②WACC(加重平均資本コスト)
③企業価値
④株式価値
⑤資産価値

この5つの公式を頭に叩き込んでいれば事例Ⅳにおける価値算出の問題はクリアできると思います。

それでは一つ一つやっていきましょう。

①CAPM(個別証券(自己資本)の割引率)について

CAPMとは、個別証券の期待収益率を指します。
1企業単位で分析する場合、その対象企業の自己資本の期待収益率と読み替えることができますね。

さて、この場合個別証券のリスクは以下の通りで算出されます。

個別証券のリスク=個別リスク+市場リスク

個別リスク:個別証券固有の変動リスク(分散投資で軽減できるリスク)
市場リスク:市場全体の変動に関連して起きる収益率(分散投資でも軽減できないリスク)

図にしてみると以下の通りとなります。

この考え方を用いて、CAPMの公式は以下の通りとなります。

CAPM = リスクフリーレート+β×市場リスクプレミアム
= リスクフリーレート+β×(市場ポートフォリオの期待収益率-リスクフリーレート

備考:
①リスクフリーレート:無リスク利子率
②市場ポートフォリオ:投資対象となる債権、株式などの組み合わせ
③個別証券の市場リスクの尺度

これでの公式を用いて対象企業の自己資本の期待収益率を求めることができます。

WACC(加重平均資本コスト)について

次に対象企業全体の資本コストを求めていきましょう。
株式会社であれば、自己資本として株式を発行し、資金を調達する自己資本と、借入を行い資本を調達する他人資本の二つがあります。
当然、二つの資本の調達コストは異なるため、加重平均を行い企業全体の資本コストを算出するわけです。

公式は以下の通りです。

WACC = E/(E+D)×rE + D/(E+D)×rD×(1-t)
E:自己資本の価値
D:他人資本の価値
rE:Eの資本コスト
rD:Dの資本コスト
t:税率

ここで中止しなければならないのが、自己資本の資本コストをの計算では、税率の影響を加味していないことです。
この理由として、自己資本のコスト=配当金は、税引き後の利益から実行される性質があるため、税金計算を考慮する必要がないためです。
一方、借入金は、営業外費用の支払い利益として計上しますので、税金影響はおきますよね。

また、こちらの自己資本のコストrEですが、こちらは自社株式や社債から発する配当金や変動リスク、つまりCAPM=rEとみなすことができます。

実際の試験では、まずCAPMを算出し、企業のWACCを求めるケースがありましたので、こちらはしっかり覚えておいてください。

企業価値・株式価値・資産価値の算出

次に、WACC、CAPM、その他割引率を使って、企業・株式価値・資産価値を算出しましょう。
考え方としては、割引キャッシュフロー法を用います。こちらは、

価値=CF÷資本コスト

という簡単な公式となります。これに合わせて、各価値を求めると以下の通りとなります。
※意味がよくわからん!という方は公式を丸暗記しても問題ないと思います!

◆ゼロ成長の場合
企業価値 = FCF÷WACC
株式価値 = 将来の配当金÷株式の資本コスト
資産価値=BSの総資産 = 資産に見合うキャッシュフロー ÷WACC
※FCF:フリーキャッシュフロー
※株式の資本コストはCAPMで算出可能

◆一定成長率rがある場合
企業価値 = FCF÷(WACC -r)
株式価値 = 将来の配当金÷(株式の資本コスト-r)
資産価値=BSの総資産 = 資産に見合うキャッシュフロー ÷(WACC-r)

以上になります。

「ラクダのいってることがわからん!もっとちゃんと説明せい!」
と思われるかもしれませんね💦でも何回も問題を解いていくと、考え方がわかってきますので、ぜひ上記公式を覚えて問題を解いていってください。

今日はこれまで!


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