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こんにちは!すてっぷらくだ(https://twitter.com/step_rakuda)です。
今回は、”商社マンの視点”シリーズ。債権回収、与信管理のコツを実例付きで解説するについて語ろうと思います。
今回の記事は、
・与信管理といったって、どうすればいいのかわからない
・債権保全策と言われても何をやればいいの?
そんな方に向けて記事を作っています。
筆者 すてっぷらくだは、現在総合商社に勤めており、10年以上のキャリアを持っています。
様々なビジネス、プロジェクトを担当し、その中では債権回収や、与信管理でトラブルが発生したことも・・・
今回は、そんな筆者の実体験をベースに、筆者が考える債権回収、与信管理のコツを紹介していきたいと思います。
まずは結論をご覧ください。
それでは詳細をどうぞ!
目次
債権回収・与信管理が必要な理由は?
債権回収・与信管理とは?
突然ですが質問です。
皆さんは、「事業を行う上で、利益が発生するタイミングはいつか?」と問われたら何と答えますか?
商品、サービスを顧客に提供した時?・・・違います!
費用、収益を会計システムに計上した時?・・・違います!
答えは、顧客からお金をもらった時です。
どんなに素敵な商品を顧客に販売しても、どんなに最高のサービスを顧客に提供しても、お金をもらえなければ収益を得ることはできません。
商品やサービスを提供した直後に顧客からお金を入手することができるビジネスに従事されている方にとっては、売上=入金なので、イメージしづらいかもしれませんが、
B to Bビジネスでは大半が、”掛売り”となりますので、売上≠入金が基本となります。
そしてこの売上≠入金のビジネススタイルですが、時に恐ろしいことが起きるんです。
経営をされたことがある方はよく理解されているかと思いますが、顧客に何らかの事象が発生し、入金が遅れた場合、その時もし自社に現金がなく、仕入れや金利などの費用が支払えない場合、最悪、会社は倒産してしまします。
これが黒字倒産の構造です。
その為、営業担当はモノを顧客に販売するだけではなく、入金するまでが本来の仕事となります。
売上たお金を回収することを債権回収、お金を支払ってくれる会社かどうか分析し、しっかりお金を回収するビジネススキームを構築することを与信管理と言うんだ。
商社マンである筆者が債権回収・与信管理のコツを紹介
規模の大きい会社は、自然と顧客の規模も大きくなるので、顧客の支払い態度が良好かもしれません。
その場合、営業担当も債権回収や与信管理までする必要はないかもしれませんが、比較的規模が小さい顧客を担当する中小企業の営業担当者の多くは、債券・与信管理は重要な仕事の一つだと思います。
そしてもう一つ、自社の規模が大きかろうが、小さかろうが関係なく、債権・与信管理を徹底的に実施する業種があります。
そう、商社です。
モノを製造しない商社にとって、利益の源泉は”リスク”の負担とも言えます。
その最たる例が”与信リスク”です。
与信リスクの負担こそ、商社の存在意義であり、与信管理は最重要のノウハウとなります。
昨今、商社の業態も変わってきており、トレーディング業務を行い、中間マージンを得るだけではなく、事業投資や経営参画を行うようになりましたが、本質的にこのリスク管理が商社の本業となります。
上述しましたが、筆者は総合商社に十数年勤務しており、営業畑一本のキャリアとなっています。
支払いが焦げ付いた顧客を担当したこともありましたし、キャッシュを持っているはずなのに支払いを止めてくる顧客も担当しています。
海外では、日本の常識が通用しない顧客から債権を回収するために、修羅場をくぐってきたこともあります。
そんな私が、営業マン視点で、債券・与信管理を行うコツを基礎編・応用編に分けてコツを書いていきたいと思います。
今回は財務関係の知識は極力省き、顧客の窓口となる営業担当が、どのような対応を行うべきかという観点で書いていきたいと思います。
日本最大級のまなびのマーケット基礎編
前金取引にする
まずは基礎の「キ」となります。
正直、このスキームを作ることができるのであれば、与信管理は深く考える必要はありません。
何故なら、既にお金をもらった後に、モノを販売するので、債権が発生しないから!
既にお金をもらっているので、リスクも何もないですよね。
筆者の場合、財務情報が悪い会社や、初めての取引で、企業の体質が「よくわからない」会社の場合、特に海外企業は、まずは前金取引を提案します。
ただ、この方法が簡単にできれば与信管理は苦労はしません。
相手先も、効率よく資金を運営していく使命がありますし、先にお金を支払うという行為にはリスクが生じます。
プライドのある企業によっては、、
前金なんてふざけるな!よく我が社にそんなこと言ったな!
こんなこともありますので、前金を提案するときは、状況を見ながら丁寧に行いましょう。
例えば、、、
初めての取引ですし、与信審査がどうしても時間がかかるため、まずは〇カ月間は前金でやらせてもらえませんか?この期間、入金が問題なければ掛売に移行できます。
というように相手方にも落としどころを見つける材料を与えると良いかもしれません。
取引信用保険をかける
次に、取引信用保険です。
取引信用保険とは、顧客が倒産や、何らかの要因で、債権を回収できなくなるリスクに備えるための保険です。
取引先の倒産や破産などで、売掛金や売掛手形などが回収できなくなって損害が生じると保険金が支払われる構造となります。
参考:ツギノジダイHP
与信リスクのある顧客に対しては、取引信用保険をかけてリスクをヘッジすることで債権を保全し、ビジネスを開始することができます。
なお、注意点としては、保険会社も無条件で保険を与えるわけではないということです。
当然保険会社も倒産リスクの高い会社の信用取引保険を作るのは、保険会社にとってもリスクがあります。
その場合、保険料が高額だったり、場合によっては保険を作ることができませんので注意してください。
さらに、実際に顧客が倒産し、債権の焦げ付きが発生した時も注意が必要です。
例えば保険会社と債権者(この場合、我々)との契約条項でよくあるのが、
・債権者は債務者(この場合顧客)の支払不能が確認され次第、即時保険会社に連絡する必要がある。
・債権者は、債務者から債権を回収する努力を行う必要がある
というような条項がよく記載されています。
これを逸脱した行為があれば、保険料を支払っていたとしても保険会社がお金を支払わない可能性もありますので、注意してください。
保険会社もリスクは最小化したいので、契約内容はしっかり見ておこう!
顧客の支払い遅延があれば、すぐに現地訪問する
基本編の最後は、現地訪問です。
営業担当は、財務担当ではありません。
顧客の財務データから与信リスクを考えることも、もちろん大事ですが、財務データはあくまで過去の情報です。
営業担当は、数字に表れない最新の企業状態を見抜くことが必要となります。
支払い遅延が発生したら、まずは顧客に直接訪問し、社長や、経理責任者、担当に話を聞く癖をつけましょう。
例えば、確認を行う際に押さえておきたいポイントとしては、、、
・責任者不在期間があり、処理が遅れただけなのか
・キャッシュが不足して、自社への支払いを後回しにされたのか
これらが挙げられます。
もちろん、相手側も洗いざらい、状況を答えてくれるわけではありません。
しかし経験を重ねていくと、もし顧客の財務体質が悪くなってきているのであれば、顧客の話すときの違和感を感じることができるようになります。
あなたの転職を成功させるpotenキャリア応用編
顧客の製造ラインを定期的に確認する
こちらは、基礎編でお話しした”現地訪問”の応用となります。
定期的に、顧客の製造ラインを見せてもらうように顧客の窓口に相談してみてください。
そうすると、もし顧客の財務体質が悪くなってくると生産現場でも変化が起きていることに気づくことができます。
例えを挙げると、、、
・工場内照明が異常なほど、消されている
・稼働していない設備が多くある
・ラインに入っている作業員が少ない
定期的に工場内に入っていればこのような変化点に気づくはずです。
そしてこれらは、顧客の財務体質悪化のサインの可能性もありますので、注意深く工場内を見てください。
なお、規模の大きい会社や、セキュリティが厳しい会社だと、なかなか外部の人間が工場内を見るというのは難易度が高いかもしれません。
しかし、取引を開始する前やそこまで頻度が高くない中での工場見学であれば、顧客は掛売をする仕入れ先に最低限自社の状況を説明する義務があると筆者は考えます。
なので、営業担当の方は恐れを感じず、勇気をもって顧客窓口に相談してみてください。
顧客の販売先・最終需要家とのコネクションを作っておく
ここから残り2つは、実際に債権回収が上手くいかない時に役立つ方法となります。
顧客の販売先とは、つまり我々から見て、「お客さんのお客さん」ということになります。
業界にも寄ると思いますが、営業担当は、この顧客の販売先と関係を作っておくと、もし債権の支払いで問題が生じたときにとても役立ちます。
筆者が経験したよくあるケースで考えてみましょう。
【ケースワーク①】
・すてっぷらくだは、らくだ商事を運営
・資材をA社に販売。A社は資材を購入し、部品を製造。X社に販売
・A社は、らくだ商事に支払う現金はあるが、らくだ商事に支払いを遅らせている。
このケースを図にしてみると以下の通りになります。
この場合、どのような対応を行えば、有利に債権回収ができるでしょうか?
その方策の一つとして、今回紹介する”顧客の販売先・最終需要家とのコネクションを作っておく”ことが有効となります。
例として、顧客との会話を挙げてみましょう。
申し訳ないですが、今月中にお支払いしてもらえなければ、
材料供給をすることができないです。
それは困るよ~、我々の顧客である〇〇電機の生産ラインを止めたら大変なことになるよ?
おっしゃる通りですね、、なので、そうなったときには〇〇電機の調達部、
△△さんには、事前にその旨を伝えて理解してもらおうと思います。
(まずい、そんなことされると〇〇電機からの当社の評判が悪くなってしまう。。。)
部品や資材の供給が止まってしまうとき、最も恐ろしいのはエンドユーザーの生産ラインを止めてしまうことです。
特に自動車メーカや、大規模家電メーカの生産ラインは何百億円もの投資を掛けて設置しているので、欠品して生産ラインを止めてしまうと、状況に寄っては賠償問題となります。
顧客Aもそのことはよくわかっており、悪意のある顧客は、エンドユーザーのラインを盾に、支払い遅延を行っていたとしても、平気で「エンドユーザーのラインを止める気か?」と仕入先を圧迫させてきます。
しかし、我々は民間の営利目的企業です。
損失をさせてまで、顧客にモノ・サービスを提供することは残念ながらできません。
なので、エンドユーザーと事前に関係を構築し、我々の顧客の状況を理解してもらうことが必要となります。
状況に寄っては、エンドユーザーから我々の顧客に圧力をかけることもできるので、債権回収をより有利に進めることができます。
節の最後に、今回の例を図で表してみると以下の通りです。
顧客の販売先・最終需要家と代金回収契約を取り交わす
最後は、前節の”顧客の販売先とのコネクションを作っておく”が前提となる方法です。
【ケースワーク②】
・すてっぷらくだは、らくだ商事を運営
・資材をB社に販売。B社は資材を購入し、部品を製造。X社に販売
・B社は、財務体質が悪化して、らくだ商事に支払いができないでいる。
今回は、顧客Bは悪意はなく、しかし財務体質が悪化しているときに使用することができます。
顧客の販売先、つまりエンドユーザー目線で考えてみましょう。
エンドユーザーも我々が、顧客Aに供給を止めて、顧客Bの部品の供給が止まってしまうことは大変困ります。
かといって、顧客Bの部品を簡単に他社に転注することもできませんし、仮に転注したとして顧客Bが倒産してしまうかもしれません、エンドユーザーとしてもそのようなことはしたくありません。
その場合は、エンドユーザーと代金回収契約を取り交わすのが有効な策となります。
具体的に契約に盛り込む内容としては、
・らくだ社は材料の供給をB社に行う
・もし、B社がらくだ社に支払いができない場合は、エンドユーザーがB社に支払う買掛金から、らくだ社の売掛金を回収する
このような構図です。
図解すると以下の通りとなります。
このようなビジネススキームを構築することができれば、我々としては債権保全ができ、安全にビジネスを行うことができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
債権回収、与信管理は奥が深く、時には顧客と駆け引きをすることもあり、非常に”泥臭い”仕事です。
しかし、この泥臭さがなければビジネスを行うことができず、営業マンのだいご味でもあります。
もし今回のブログが役に立ったのであれば、筆者としても大変うれしいです。
最後にまとめを確認しましょう。
日本最大級のまなびのマーケット今日はこれまで!
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