こんにちは!すてっぷらくだ(https://twitter.com/step_rakuda)です。
今回は、”ファブレス経営”について徹底分析をやっていきましょう。
2019年度における日本のGDPですが、業種別内訳をみてみると製造業が全体の2割を占めており、日本経済をけん引していることがわかります。
そんな製造業ですが、昨今、ビジネスモデルの一つである”ファブレス”に、注目が集まっています。
経営コンサルタントの国家資格である中小企業診断士二次試験でも、事例Ⅰ(組織・人事)にも”ファブレス経営”が出題されており、診断士受験者だけでなく、ビジネスに関わる多くの方がファブレスの構造を理解しておく必要がありますね。
しっかり、ファブレス経営を理解しておきましょう!
ファブレスの概要
ファブレスとは
まずは、ファブレスについて説明していきます。
ファブレスとは、”Fabrication facility less”の略語で、製造工場(Fabrication facility)をもたない(less)という意味です。
製造業は、モノをつくって販売する会社なので、基本は自社で工場を持ち、製造⇒販売を行うかと思いますが、ファブレス企業では、自社で工場を持つのではなく、製品企画や、開発に集中し、製造を外注する形式をとります。
代表的なファブレス企業
それでは、どのような企業がファブレスを行っているのでしょうか?
以下は、ファブレス代表格ともいえる企業を3社紹介します。
◆Apple
IT業界の最大手ですね。今や街を歩けばアイフォンやアップルウォッチをつけている人を見ないことはないです。アイフォンの製造をFoxcon(ホンハイ)に製造委託していることは有名です。
◆ユニクロ
裁断・縫製など、製造過程を海外の企業に外注するファブレス経営を取り入れています。
公式サイトとでは、工場コンベションという外注する経営者と本音で議論を行う場を設けており、製造サイドの声が届くように配慮したり、また主要工場には、労働環境・環境保全のモニタリングを実施することで、ただしく商品が製造されているか確認できるようなスキームを取っているようです。
◆任天堂
我らが任天堂も国内ファブレス企業の代表的な存在です。任天堂は、製品は委託先の工場で生産を行っているものの、各工程で実施する検査に必要な検査機は自社で設計し、独自の品質検査法で管理しているようです。
OEMとの違い
OEM(Original Equipment Manufacturing)も自社で製造しないビジネスモデルですね。
この違いは、ファブレスが自社ブランドの製品を製造・販売するために製造工程の一定範囲を外部委託するのに対し、OEMでは「自社で設計開発を行い、製品を他社ブランドで販売する」という違いがあります。
自動車業界でそのようなケースが多く、例えばトヨタ自動車のライズはダイハツが設計、製造を行っています。
ダイハツも自社ブランドとして”ロッキー”を販売していて、当然ながら似ていますよね。
ファブレス経営のメリット
メリットを上げると以下が挙げられます。
- 固定費の抑制
- リソースの最適化
モノづくりには、大規模な設備費やそれを管理運営する人件費が付いて回ります。ファブレスの場合は、これを外注するので、固定費の代表格である人件費、減価償却費を減らすことができます。
リソースの最適化に関しては、企業が自社の人材を設計やマーケティングに特化させたいときなどはファブレス経営のメリットがでてきます。
ファブレス経営のデメリット
一方、ファブレスのデメリットもあります。代表的なものは、以下の通りです。
- 品質管理・生産管理に注意が必要
- 設計ノウハウ漏洩
品質管理・生産管理について、ファブレスは製造工場を有しません。一方最終消費者からするとそんなことは当然知りません。もし品質上のトラブルが発生すれば、自社ブランドで販売している以上、ファブレス企業の信用が低下してしまします。
そういう意味では、上記で挙げた任天堂は、その問題点をうまくカバーしていますね。
次に設計ノウハウ漏洩ですが、外部委託することでノウハウが漏洩することです。
製品には自社のノウハウが詰め込まれています。そうした情報の漏洩により、他社が模倣し、市場に参入することで、自社の優位性がなくなるというケースはたくさんあります。
[診断士受験生向け] 中小企業二次試験での出題形式
中小企業診断士の二次試験では、令和3年に出題されています。
与件文には、印刷・広告制作会社を生業とする企業がケースに出されており、印刷事業のファブレス化を行った理由を解答するという形式で出題されています。
この場合として、わたくし、すてっぷらくだとしては以下の要素を抽出し問題を解いています。
正解は一つではなく、100点の回答かはもちろんわかりませんが、一つの参考としてみていただけると幸いです。
・技術革新のスピードが速く、変化が激しい環境下では固定費を回収できなくなる可能性
・リソースを別の分野に絞り、高付加価値事業に集中する
以上になります。日本の中小企業の多くが製造業ですし、中小企業診断士になるためには絶対に欠かせない知識ですね。
受験者の皆さん、がんばりましょう!
今日はこれまで!
コメント